実際にパワハラにあった時の対処法
実際にパワハラのターゲットになってしまった場合の、法的な対処法を知っておくことで、いざパワハラに遭遇した時に冷静に対応できるようにしておきましょう。
目次
- 1、「自分が悪い」と思わないこと
- 2、パワハラを記録しておく
- 3、周囲に頼れる人がいれば相談する
- 4、相談が怖い時、迷ってしまう時
- 5、職場の相談窓口/労働組合に相談する
- 6、外部機関に相談する
- 7、職場に行けなくなってしまった時に使える制度を知っておく
- まとめ
1、「自分が悪い」と思わないこと
パワハラを受けた場合、まず大事なのは「自分が悪い」と思わないことです。
パワハラの多くは職場に何かしらの原因があって発生しています。トラブルが発生している時には既に問題が複雑化しており、その中で誰かが被害者になり誰かが加害者になっているのです。パワハラをするような人も心理的な問題を抱えています。だからパワハラをするのです。詳しくは過去の記事をご覧ください。
2、パワハラを記録しておく
パワハラを受けた時、具体的にその記録を残しておくようにしましょう。案外、いつから、どのような状況で、どんなことをされたのか、具体的に思い出して他者に伝えるのは難しいものです。
日記やメモで構いません。記録に残しておく事で、上司や労働組合に相談するときの資料になるほか、問題が拗れて裁判になった時も重要な証拠になります。
3、周囲に頼れる人がいれば相談する
職場でのトラブルを一人で解決するのは難しいと思ってください。そのため、周囲の協力が必要です。
まずは信頼できる同僚がいればその人に相談してみましょう。客観的に物事を捉えることができるようになります。
そして、パワハラは職場に原因があって起こるのですから、それを解決するために上司に報告・相談して解決するのが一番です。
直接の上司からパワハラを受けているのであれば、その上の上司に相談してください。その場合も同僚と一緒に相談できると心強いでしょう。自分はこのような解決を願っているということも含めて相談すると、具体的な解決策が探りやすくなります。
4、相談が怖い時、迷ってしまう時
しかし、相談すること自体、パワハラを受けている人にとってはハードルが高いでしょう。
厚生労働省の調査(職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書H24)では、パワハラを受けても何もしなかったという回答が46.7%と約半数を占めています。
相談したら自分の立場が悪くなるのでは、と相談できない声が聞かれます。
しかし、何もしなければ事態を悪化させるばかりです。
会社は職員が安心して安全に働き続けることを保証するための責任があります(使用者の安全配慮義務)。職場での問題を明らかにすることは職場や会社のためでもあります。そのままにして置くと、職場の雰囲気も悪くなり、生産性が落ちるほか、貴重な人材を失うなど、さまざまな損失になるからです。 会社のためだと思って報告してください。そして会社にはそれに対処する義務があります。あなたは決して間違ったことをしているのではありません。
5、職場の相談窓口/労働組合に相談する
もし上司に相談するのが怖い、もしくは相談したけど解決に向けて動いてくれない、ということがあれば、職場に設置されている相談窓口、なければ労働組合に相談するというのも1つの手です。
労働組合から会社へパワハラの申し入れをした場合、それを理由に嫌がらせや解雇をすることは法律で禁止されています。
勇気を持って相談するという一歩を踏み出して欲しいと思います。
以下に相談できる機関を挙げておきます。
主な相談窓口
①社内の相談窓口
②労働組合
③社外の個人加盟の労働組合・ユニオン
④公的労働相談窓口
⑤弁護士
6、外部機関に相談する
社内で解決に取り組む方が、個別の問題解決だけでなく、パワハラの原因にも解決に繋げやすいため、まずは①②に相談します。
なぜなら、公的相談窓口や弁護士などの外部機関では、社内の内実がわからないため、職場の改善にまでは至らないという欠点があるからです。
また、社内の労働組合があるのに、いきなり社外の労働組合やユニオンに相談すると、職場の組合を信頼していない、敵対したという口実で、今後協力してくれなくなる可能性もあります。
もし社内の労働組合に相談し「取り組めない」と言われたら、「では、外の相談できるところに相談に行きます」と伝えて社外の相談窓口に相談すると良いでしょう。
相談するときは、事実関係、経緯、どういう解決を望んでいるかをまとめておくと良いかと思います。
また、裁判は最後の手段として考えておきましょう。裁判はお金も時間もかかります。通常弁護士に代理人になってもらうため、裁判の費用とは別に着手金や成功報酬といった弁護士費用がかかります。その上、控訴や上告も含めると1、2年と時間もかかります。こうした欠点を補うための制度として労働審判制度というものもあります。原則3回の審理(約3ヶ月)で解決を図るものです。和解で解決しない場合は労働審判(判決に当たるもの)が下され、どちらかに異議がある場合は、通常の控訴に移行するシステムです。
裁判では法的に違法か合法かを判断するため、職場の問題として根本的な解決には至らない可能性があります。双方の溝が深まって、相互理解や気づきが生まれる余地もなく、人間関係が修復されることはありません。
7、職場に行けなくなってしまった時に使える制度を知っておく
以下、心身の不調が原因で職場に行けなくなってしまった時に使える制度を紹介します。
いざという時に、そのような支援や制度があるのか知っておくだけで、冷静に対処できます。何かあってもこうすれば良い、大丈夫なんだと知ることで、心理的負担感が全然違うと思いますので、頭の片隅にでも入れておいていただけたらと思います。
職場に行けなくなってしまった時に使える制度
・病気休暇制度
・失業給付
・産業に詳しい医療機関への受診
まずは、医療機関や市町村窓口に相談して、今の状況ではどの制度が適応になるのか、そのような手続きが必要なのかのアドバイスをもらってください。
まとめ
以上、パワハラにあった時の具体的な方法について書きました。
ポイントは、
・堂々と自信を持って(パワハラは会社の問題です!)
・一人で抱えず相談する
・同僚→上司→職場の相談窓口→労働組合→社外の労働組合/ユニオンといった具合に段階を踏む
です。
一人で戦うのは大変だと思います。誰か一人でも、あなたを応援してくれる人がいてくれればと思います。
そして、パワハラは、する人の問題であり、会社の問題でもあります。自分にも悪いところがある、と思ってしまうかと思いますが、それを放置していても会社にとって良いことは何もありませんので、勇気を持って相談してください。
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